「ユーリ?」
それぞれが街で買い物やら休んだりやらの自由時間。エステルはふと散歩の歩みを止めた。リタは宿屋で研究。レイブンはその近くで寝ていて、ジュディスとカロルは買い物。ラピードはそのジュディスたちについていった。何でも欲しい物があるとかでついていったらしい。ユーリがそう言っていたのでそうなのだろう。そして、ユーリというと、これがどこに行ったか分からなかったのだが。
「ん、ああ、エステル」
どこかぼーっとしてる表情だ。エステルは首を傾げる。普段のユーリならば気づいていそうな距離なのにどこかぼんやりとしている。
「どうかしたんです?」
不思議に思い声をかける。だが、その返事は返ってこない。エステルはユーリを見る。どこか変わらないように見える。しかし、呆然としてるというよりも、ぼーっとしてる。
「何でも無いから。とりあえず、宿屋に戻ろうぜ。もうすぐ夜だし」
「そうですね」
やはり釈然としない。しかし、いう事は本当なので宿屋に戻ることにする。散歩も終えたわけだし。久々の休憩だ。バウルもお疲れだろうというのだが。
「ユー…リ!!」
後ろを振り返る。ユーリが居るだろう位置には彼は居ない。どこかに消えたのか。しかし、それなら一声かけてくれるだろう。今までもそうだったわけだし。と、地面に人が倒れていてそこに走る。見知ってる人物が倒れていた。
「大丈夫ですか!?」
声をかける。起き上がらせるために身体を上に上げて魔法を唱えようと準備をする。だが、ユーリは手を軽く振る。
「回復は効果が無いから。とりあえず、戻ろう」
「え、でも」
「悪いが肩貸してくれ」
「あ、はい」
ユーリに肩を貸す。初めてだが、上手く出来てるのだろうか?何より身長の差があるから、変な格好であるのは確かだ。此処から宿屋に近いのは救いではある。途中でジュディスとカロルと会って三人でユーリをえいやと運ぶ。
「で、青年、何で倒れてるんだ?」
「毒液浴びた後に、戦闘続行、解毒はしたが、そのままだったための風邪だ」
流石に病気に回復術は効果が無い。そのために起きた不運な出来事だ。あらあらというジュディスに全員が唖然としていた。通りで一日休みが欲しいと言ったわけだ。それぞれのこともあるが、今回はビッグボスとの戦いの後のため、全員が全員疲れもあって聞き逃していた。
「それじゃあ、中で安静にしてたら良いじゃない」
「変に気分が高揚してな、ちょっとばかし外の魔物を相手に身体を動かしてたんだ」
「余計に悪化するわ!!」
それぞれ突っ込みどころ満載にもう誰かストッパーが居るなと考える。必然的にユーリを止められる人物は限られるわけだが。力ならジュディス、精神的にだとエステルあたりである。そして、凛々の明星の面々+αの面々は足止めを食うことになったのは言うまでも無い。ユーリは先に行ってくれというが、それは駄目だというカロルとエステルに全員が付き添うことになるのだ。
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