「フェイトちゃん!! 待って!!」
「なのは、もう良いんだよ」
「でも、どうして! 何で!?」
「犯罪者になりたくないから。だから、ごめんね」
「生きてて欲しい。ヴィヴィオだって、そう願うよ!!」
「ごめんね。でも、もうこうするしか方法は無いの」
「そんなの性急すぎるよ!!」
「ごめん。誰かが此処で食い止めないといけないことだから」
「フェイトちゃん!!」
「なのは、ヴィヴィオによろしく伝えておいて。それと、エリオとキャロにもはやてにもお願いね」
「フェイト、ちゃん」
間に合ったなのははフェイトがどれほど辛いか分かっていた。魔力を吸い取るロストロギア。だが、それは周囲を無差別に吸い取る悪魔のようなものだった。吸った魔力を貯蔵し、それを爆発へと変える。それの解除は一つ。人身御供。一人の命で魔力の爆発が止められる。だが、その止める人はAAAランク以上の魔導師でなければならなかった。
「間に合わないって分かったから。なのは、ごめんね」
「分かったよ」
「それじゃあ、ばいばい」
「あ」
フェイトは自分の意識が黒く塗りつぶされていくのに気づいた。
『フェイト、貴方はこの道具を間違って知ってます。これは、願望機というものです。正式名称は<クロノス>。貴方には選択肢が与えられます。生まれも何も関係ない、貴方を必要としてる世界に送りましょう』
その声は優しい。フェイトは驚いた。何故声が、と。なのはに伝えたい。だが、出来ない。
『貴方と周囲から奪った魔力を元に、貴方を違う異世界に飛ばします。でわ、さようなら。良い旅を。運命の子よ』
その言葉が途切れると共に、フェイトは急なことに驚いていた。此処がどこか分からない。
「此処は? バルディッシュ」
答えは無い。杖が無くなってることに気づいた。握っていた手の平は空で、寂しさすらもある。
「何処なんだろう?」
フェイトは周囲を見て、自分の服装も見る。そして、身体が小さくなってることに気づいた。自分が誰か分からない。がさっと音がしてフェイトは音の方向を見る。
「目が覚めたのですね。大丈夫ですか? 倒れてたのを此処に連れてきました」
「あり、がとう。あの、貴方は?」
「名前だけで悪いが恭也だ」
「恭也さん?」
「ほとんど同い年だと思うが。街まで、送るが」
「り、両親は、居ません」
「親戚は?」
「分かりません。知り合いも」
「むぅ」
困った顔をしてる恭也にフェイトも少し困った顔をしている。そして、二人の間にひとりの男性が来た。
「恭也、起きたか?」
「ああ。こちらは」
「フェイトです」
「士郎っていうんだ。しかし、可愛い子だな。恭也、大事にするんだぞ」
「って、父さん、まさか!」
「ああ。俺は仕事だ。フェイトちゃん、悪いが、しばらくこの子と此処に居てくれ。悪いようにはしないから」
「はぁ」
「恭也はそこそこに聞き分けも良いから、不自由な事があったらいうと良い。恭也、頼んだ」
「はいはい。それより、帰らないといけないんだからな」
「分かってる」
そして、士郎は離れていった。フェイトは首を傾げてる。そして、その出会いは色々な波紋を呼び起こすことになるのだった。
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