「名雪、大丈夫?」
「ん? 何が?」
「相沢くんのことよ」
「……大丈夫だよ。新しい家族も出来たしね」
相沢祐一は七年前の思い出を忘れて此処に来た。雪を見るのがとても嫌そうだった。でも、それを克服した。勿論、そのことや過去の思い出も全て思い出して、彼女を作り、彼女を助けつつも自分の過去も克服して謝っていたりする。名雪にしても、過去雪ウサギを叩き落したという事がある。名雪本人はタイミングが悪かったと漏らしていたけど。相沢くんとしては色々と思う事があるのだろう。彼女本人もそんな優しい相沢君を見るのが好きなのだそうだ。愛されてるなぁとちょっとからかったところ、相沢君本人も愛してるから丁度良いって言ってた。
「でも」
「それにね、私もだけど、あゆちゃんも、真琴も祐一に振られたんだよ。一緒に住んでるからこそ遠かったんだなぁって」
「名雪」
「タイミングもあるだろうけどね。恋愛必勝法なんて分からないし」
「そうね」
可愛いし、綺麗なのに勿体無いと思う。確かに相沢君の彼女も綺麗だ。正直、相沢君のほうがつりあい取れてない気がしないでもない。本人もそのことに関しては苦笑いで言ってた。つりあい取れるくらいに頑張らないとって。
「それに祐一が選んだ人だしね。最初聞いたときは驚いたけど、でも、私たちの前で紹介したとき、似合ってるって思ったし。負けたって思ったから」
「そうなの?」
「なんていうのかな。七年の思いとか、そういうの抜きにして今現在を考えたら、あれでよかったと思うんだよ」
「そう」
「だから、香里は気にしなくて良いんだよ。それに、栞ちゃんもでしょ?」
「ええ。相沢くんの事、本当に大切なのね。しっかりと現実を見据えてるわ。ちょっと驚いたわ」
「ドラマの影響受けすぎてるから?」
「そうね。でも、意外とちゃっかりとしてるわ」
「祐一とたまに会ってるもんね。彼女公認らしいけど」
それは知らなかった。相沢くんがどう言うのか分からないけど、ちゃんと話は通してあってるのだろう。そうじゃないと何かと問題が起こったときに怒られ続けることになるからか。
「しばらくは相沢くんの熱い話でも聴いて、茶のみ話に出来たら良いのだけどね」
「聴いておくよ。意外と惚気るよ」
「そうなの?」
「うん。一度聴いたとき、ちょっと驚いた」
「それは楽しみね」
そう。これからを楽しみにしよう。私たちはこれからを得たのだから。奇跡もあっただろう。だが、それだけじゃなく、日常がそれらの積み重ねなのだから。
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