「なのは、どうかしたのか?」
「あ、お兄ちゃん。あそこ」
木の枝のところに小さな猫。み~み~と鳴いている。なのははたまたま見つけたのだろう。恭也としてもどうしたいのかが分からず小首をかしげる。
「下りられないんじゃないかなぁって」
「ああ。なるほど」
恭也はそのまま手を伸ばすと、小さく声をかけた。おいで、と。
恭也の手の平に乗ってそのまま下ろされると、恭也の手を舐めて、走っていった。なのはは残念そうだが、自然では当たり前のことなのだ。
「触れるかなぁって思ったんだけど」
「仕方あるまい。それより買い物の途中じゃなかったのか。なのはを呼びに来たんだが」
「あ~」
なのはは慌てて荷物を拾い上げると走っていった。恭也はそれを見送りつつ、先ほどの猫を思い出していた。不思議な感じがした。今まで会った事があるような、それで居て無いような感じ。
「何も起こらなければ良いが」
それが始まり。いや、それがきっかけ。知られざる物語が幕を開ける。猫と青年の話が。
つづきませんよ。多分
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