「ま~い~」
「佐祐理」
親友の声に舞は振り返って、走ってくる親友を見る。その走る姿を誰も咎めない。廊下を走るのは危険だと思うが、舞としては何も言えない。なんせ自分の影響で学校の窓ガラスを破壊したり、廊下をへこませたりとしたからだ。
「あまり走ると危ない」
「あはは~、そうですね~」
気づいてるのか気づいて無いのか。親友のそんな様子に小さく笑みが浮かぶ。もうすぐ卒業。一人後輩というか、彼氏が出来た。自分のことで傷ついた少年。そして、過去を忘れても尚向き合って全てを思い出した少年。いや、この場合は青年か。
「祐一さんも待ってるよ」
「はちみつくまさん」
「行こう」
頷いて返す。佐祐理は元気になった。その時、私は力を使った。全てが戻った私に怪我の治療は久々で緊張もしたけど、祐一が傍に居てくれたから。祐一も過去を乗り越えたから。
「祐一さ~ん」
手を振ると、座ってる祐一は手を振り返す。私たちにはまだまだ分からない事があるけど、三人で居るなら幸せだ。それがどこであろうと。
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