「ユーリ」
「ん、エステル、どうかしたか?」
「いえ、ずっと料理を任せっぱなしなので手伝います」
戦闘を終えて、ちょっと小腹が空いたのでって事で料理を作っていたユーリ。勿論パーティ全員分。皆が皆欲しいというわけでは無いが、それでも疲れた体に栄養補給は重要だ。そして、ユーリは毎回食材を見て、何かしら作る。
「って言っても、もう終わるし。先にシートやら引いておいてくれたら良いぞ」
「そうですか?」
「後、皿も出しておいてくれ」
「はい」
嬉しそうに手伝う様にユーリは小さく笑みを浮かべる。まだまだ闘わねばならないのは確かだが、こういう休憩中の一時というのは大切だ。気は緩めてないが。いざとなれば包丁で敵を裁かねばならないだろう。近くにユーリの剣が無いためだ。といっても、その心配は少ない。ホーリーボトルを回りに引いてござを引いてるからだ。結界みたいなものだから。
「出来たっと。お~い出来たぞ」
「ありがと、青年」
「ありがと、ユーリ」
「毎回悪いわね」
「ありがたくいただいとくわ」
「わふ」
それぞれがお礼を言って取っていく。ただ、この時皆が皆違和感を覚えた。
「いただきます」
全員にいきわたったのを見てユーリは一口食べる。皆も食べる。大鍋で一気に作る料理というのをエステルは普段食べないのだが、こういうのも好んでいた。最近の食事ならではなのだが、人数が増えてにぎやかになった分楽しい。
「この後どこだっけ?」
「バウルに乗って、一度帝都に戻る予定だったわよね?」
「そうだっけ? 何か用事だっけ?」
「まぁ、そうね」
「おっさんを休ませるためっていうのと、買出しもかねてな。此処からだとそこが近いし」
「食材とか大丈夫?」
「まだ、何とかって所だ。後二度三度で切れるな」
「そっか」
食べながら次の予定を話し、そして決めていく。ギルドのことも、他のことも。目的地は決まっている。先ほどまではちょっとしたモンスターの様子を見に来たにすぎない。買出しも終われば本格的に目的地を目指し突き進むのみだ。最善を尽くす事は悪いことじゃないから。
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