「お兄ちゃん、どうかしたの?」
「あ~、いやたいしたことじゃないんだ」
恭也はなのはの質問に何でも無いと返事した。だが、恭也はとある少女を家族の誰にも言わず入院させていた。その少女は意識が無いだけで、そのうち起きるであろう少女。なんだか色々と不思議だが、HGSでも無さそうということは分かってる。恭也が調べてもらったのだ。海鳴大学病院の医師に調べてもらった結果なのだから信憑性もあるというものだ。
「でも、悩んでるように見えるよ」
「まぁ、そうだな。悩んでるというか、まぁ、ちょっとな」
意識不明で入院。検査結果は良好。起きても大丈夫ということで、起きたのだ。目を覚ましたが正しい。最初は此処がどこかと聞かれて少女に答えた。少女は此処がどこかを聞きたかったわけじゃないというのは理解した。敏い子であるということも。そして、恭也を『パパ』と呼ぶのだ。何故か聞いたら『駄目?』と涙目で聞かれてしまい、そのままである。
「なのは、うちに新しい家族が出来たら嬉しいか?」
「新しい家族」
「ああ。妹と言うか、なんていうかだが」
「なのはは嬉しいよ」
「そうか」
多分高町母は喜んで引き入れるだろう。恭也は小さく息を吐き出す。身寄りの無い少女を問答無用で放り投げるなど出来ない。だが、それでもと考え込んでしまうのだ。勿論、恭也とて何か他にと考えてるが、意外と行動力のあるあの少女だからこそもある。
「後はかあさんくらいか」
「お兄ちゃん新しい家族が出来るの?」
「まぁ、なれたら良いなとは思う」
「そうなんだ。とうとうお兄ちゃんに彼女さんが出来たんだね!!」
喜び一杯のなのははそう言いきった。だが、恭也は首を捻る。彼女が出来て家族になるっておかしくないかって意味でだ。ただ、その声は家に居た、晶、レン、美由希には聞こえていた。そして、それが色々な騒動への一歩となるのだった。
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個人的には「我が願い」の続きも期待していたりします。