「つぅ」
「ふぅ」
朝の鍛錬。それは何時いかなる時も欠かさない。それが美由希と恭也であった。勿論、二人とも初詣とかも行くのだが、そちらはそちらとちゃんと区分けてる。道場で実戦形式で小太刀をあわせる。
「今年こそは1本とるよ」
「そうしてほしいものだ」
毎年、何かしら目標を立てて努力する。美由希は恭也から1本を取ること。そして、恭也はいつかの背中を追いかけていたが、半ば諦めてる。そのため、美由希の願いそのままを使うのだ。美由希が1本取れるように鍛えると。
「今日はこれくらいだな」
「ありがとうございました」
「先にシャワーを浴びて来い」
「はぁい」
女性のほうが着替えも準備も時間がかかる。このあと皆で初詣に出るのだから、当たり前だ。そして、恭也は神棚の前に立つ。美由希が出て行って遠く離れたのを感じて声を出す。
「父さん、もうすぐだと思う。だから見守っててくれ」
それは恭也にとっての誓い。美由希を立派な剣士にするという。墓前にも挨拶はしないとなどと考えつつ、自分の分の片付けを終えて歩き出す。己もお風呂に入り身体を温めないと風邪を引いてしまうかもしれないから。これは何時もの高町家の新年。
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