「お~い」
「シャスティル、ヒスカ」
手を振って声をあげる二人にユーリは手を上げて答える。星喰みを打ち倒し、ブラスティアを放棄した世界。その中で騎士団もギルドもそれぞれが忙しい。そんな中、ユーリたちはギルド代表としてもおかしくないほどに忙しい最中だ。それぞれが個別で世界中を回ってるからだ。一番飛び回ってるのはジュディスなのだが。バウルと共に居るために移動手段もあるからだ。海だとパティもだ。
「どうしたんだ?」
「わぅ」
ラピードも不思議そうに吼える。そんな一人と一匹に二人は顔を見合わせる。
「ほら、今回の任務は騎士も付き添う形になるって聞いてないの?」
「ああ。そういえば、聞いたような気がする。わりぃ、その話の最中にエステルも聞いてきたから、ごちゃごちゃになったんだった」
「あ~、エステリーゼさま」
「そうそう」
「……しかし、ユーリと組むのかぁ」
今回の面子。ユーリ、ラピード、シャスティル、ヒスカの四人。荷物やらを持ってこれからちょっとした戦いだ。ちょっとではないが、街と街の間の街道で大きい魔物が出たということでギルドと騎士それぞれが調査と対峙を請け負ったことから始まった。最初はどちらも譲ったが結局それを纏めたのがカロルである。困ってるならブレイブヴェスペリアで受け取る。それだと騎士の面子は丸つぶれなため、騎士たちも慌てて出したのだ。それがユーリの昔馴染みの二人である。
「探索と討伐をかねてるのにこの人数は普通無いよなぁ」
「あはは。期待してるわよ」
「私たちもある程度は闘うけど、フォローくらいにしかならないからね。大きいのだと」
「それで十分だよ。ラピードも居るし」
「頼りにしてるわ。ラピードも、ユーリも」
「おぅ」「わん」
過去のことを思い返しても、シャスティルとヒスカはユーリが強いのを知ってる。あの時でも剣の技や強さは上だった。今回もそうだろう。しかし、二人は理解していた。もしも居たなら、討伐のためにどんな敵が居てどういう状態だったかを書いていかないといけない。魔物の脅威を少しでもずらすためにだ。
「前は任せるわ。魔物の弱点やらなんやらは調べていくし」
「ああ。頼む。手が回らないかもしれないし。というか、めちゃくちゃ居るなぁ」
「逃げて良い?」
「無理じゃね?」
「そうね」
逃げても門は閉じられてる。四人で闘えという事だ。前には大きな魔物とそれに付き従うように居る数匹の魔物。決定だ。こいつらが街道を襲ってるのは確かだろう。全部は見て回れてないが。
「増援を呼ぶけど、良いわよね?」
「ついでにギルドにも頼むわ」
「勝手にどちらかが着てくれると信じましょう。時間稼ぎお願いね」
「ああ」「わう」
空に一つの白煙が立ち上る。この白さが味方の救援待ち。敵も居るだろうと予想して全員が準備にかかるのだ。そして、それを見た騎士やらギルドの面々は仲間の危機を知り向かうのだ。一つの街道を通れるようにするための戦いが始まったのだった。
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