「カロル、ユーリ、知りません?」
「え? ユーリ? そこに居なかった?」
「それが見当たらないんです」
「どうかしたのかな? ラピード、知らない?」
「くぅん」
ラピードの声は分からないので首を捻る。どういう事か分からないのだ。そして、カロルとエステルの二人が話してるのを見ていたリタとレイブンも揃ってきた。といっても、レイブンは己の検査というものだ。
「青年が居ないの?」
「ええ。ちょっと聞きたい事があったのですが」
「そうなの? 私には聞きづらい事?」
「リタには申し訳ないのですけど」
「う~ん。おじさんには?」
「レイブンもちょっと」
カロルは首を傾げる。もしも聞くならば、それもそうだろうと理解できる。が、エステルが気になる事でユーリに聞かないと分からないことなんぞあるのだろうか。だいぶ旅にもなれて着ているし。
「ん、どうかしたのか?」
「そうね」
ユーリとジュディスの二人が並んで全員の前に現れた。どこか二人ともすっきりした顔をしていた。
「ユーリに聞きたい事があったんです」
「なんだ?」
「野宿するときによくジュディスと一緒に朝方出かけてます。何してるんです?」
「あ~、そういえば言ってなかったっけ」
「言って無いわね」
ジュディスの言葉にそうだったっけと首を捻る。朝の見張りなどもあるのだが、ユーリとジュディスは時間を重ねてる事が多い。そして、そういう時は大概朝はどこか行ってる事が多い。
「それ、おっさんも気になるわ」
レイブンも気になるとのことでユーリは首を傾げる。
「あれ、おっさんには説明しなかったっけか。鍛錬だよ。ジュディに俺が頼んだんだよ」
「あら、実際は逆でしょ。私としても剣士と戦う事もあるから教えて欲しいって言ったから」
「俺としても槍を使う人と戦う方法が出てくるわけだし、お互いに利点があるから」
「僕にも教えてくれたら良いのに」
「朝早い時間にしてるのと、周囲の魔物もついでに退治してるからな」
「ええ。起こしたら悪いと思ったのよ」
「なるほど」
エステルも納得したように頷いた。他の面々もなるほどと思ったのだ。ただ、リタは不思議そうに言葉をつなげた。
「朝じゃなくても、昼でも歩いてる最中に敵と戦うのに何で?」
「俺とジュディは前に出るだろ。後ろのリタやエステルやレイブンのことを考えたら強くないとな」
「ああ」
やはり詠唱中は術師にとって危険だ。エステルにしてもそれは納得できるがどこか首を捻る。何故かむっとしたのだ。自分も前に行って闘うのに。参加させてもらえないかなぁと。この後カロルとエステルが加わろうと話をするのだが、それはもう少し先の話。
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