「う~ん、何も無いな」
自室へと戻ってきたんだけど、すでに食堂もしまっていて夕飯を食べ損ねてしまった。誰かに頼んでおけばよかったのだけど、うっかり忘れてしまった。生徒会の仕事で忙しくて忘れてたのだけど。ドアのノックの音で誰が着たのか分からないけど、ドアを開ける。
「あれ? 陽菜、どうかしたのか?」
「うん。ほら、孝平くん、夕飯食べ損ねたんじゃないかなぁって」
「正解だけど。何で気づいたんだ?」
「お姉ちゃんだよ。気づいたの」
ベランダのほうの窓をどんどん叩く音。仕方ないのであけると、そこからかえでさんが入ってきた。
「こ~へ~、窓開けておいてよ」
「無理いわんで下さい。それより俺が食べてないってよく分かりましたね」
「こ~へ~の部屋の上に住んでるから、何となくだけどこ~へ~が帰ってきたかどうかくらいは分かるんだよ。それで今日は遅いし、帰ってきてないなぁって思って」
なるほど。それで分かったのか。まぁ、上下で分かりやすいために助かるといえば助かった。それで陽菜が着てくれたって事か。材料とホットプレートを持って。
「助かるよ。おなかすいててさ。カップめんとかも無いし」
「うん。分かった。お姉ちゃんの分も作ってあげるから」
「かえでさんも食べてないのか?」
「ううん。私はお夜食だよ」
ついでという形でも作ってもらえるのはありがたいものだ。
「ありがとう」
「良いのいいの。それに、食べ無いと駄目だよ。健康に悪いし」
「ああ。気をつけるよ」
夜食というか、思いっきり夕飯なんだけどかえでさんはぺロリと食べていた。あの小さな身体のどこに入るのか不思議だけど、かえでさんの優しさには感謝だ。本当に…
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