「タマモちゃん」
冷凍装置から目覚めたときに私の世話というか、私の近くにはラニさんとタマモちゃんが居た。タマモちゃんは狐耳の小さな女の子だ。妖精とかに近い。私とは何らかの形で繋がってるらしい。
「楓さん、どうかしましたか?」
「病気が治ったのは嬉しいけど……」
自分のことを少し教えてくれた。過去病気の治療法法が確立されて、それを執刀できる人が居なかった。だけど、ラニはそれを踏まえて努力してくれて治療してくれた。そして、傍に居てくれてる。何でもとある場所、よく知らないけど私にお世話になったらしい。命を助けられたとか何とか。
「家族も知人も友達もこれから作れば良いのだろうけど、色々と変わったんだね」
とりあえず、目の前にあるものを見る。小型化された携帯と呼ばれる電話。メールやカメラと多数の機能がある。そういうのも私は遅れてるのだ。ラニという先生が居るおかげで色々と教えてもらってるし、タマモちゃんが家事などを手伝ってくれる。教えてもらってるときもあるのだけど、まだまだタマモちゃんのほうが上手だ。
「聞いてくだされば教えますよ。それに、リハビリもありますし」
「ありがとう」
こんなけ恵まれた環境は普通は無いだろう。私は幸運な部類だろう。ただ一つムーンセルに吸収された自分の別人格は最後幸せだったのだろうか。タマモちゃんは知ってるとのことだけど、聞いたら悪い気がするのだ。一度聞いたら秘密と笑顔で断られた。いつか聞けるほど心が強くなったと思ったら聞こうかな。私とは違う私が戦った記憶を。
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