「ユーリ、カロル」
「エステル、どうしたの?」
走ってくる人物を見て、ユーリとカロルは声をかけかえした。走ってくる人は買い出しに出た人物だ。リタも一緒に行ってる。ユーリとカロルは武器を見ていた。自分たちの武器の修繕もあるが、それ以上にそれぞれに必要なものもあってだ。そんな二人に声をかけてくるのはある意味で珍しい。
「どうしたっていうか、二人とも買い物の係りじゃないのにどうしたのかなって」
「そうよ」
少し遅れて歩いてきたのかリタも到着。カロルとユーリは少し上を見る。
「買い出しのメモに書き忘れた物があったからな。散歩ついでだよ」
「そうなんだよ。それにジュディにも頼まれたんだよ」
「頼まれた?」
「ああ。砥石をな」
「ああ」
「なるほど」
確かにメモにはアイテムが多数だが、砥石は書いてなかった。武器を研ぐのに使うため必要だが忘れていたのだ。リタとエステルは納得。
「じゃあ、砥石も買っていきますね」
「ああ。頼むわ」
「僕はもう少しアイテム見てたいから見てるね」
「そうか。じゃあ、俺は散歩でもしてくるわ」
「はい」
道具屋で話も終り出て行くユーリ。カロルはアイテムを見ていて、リタとエステルはメモに書かれてるのを買っていく。ちなみにレイブンは宿屋で寝ている。モンスターの体当たりをもろに食らって腰をちょっと痛めたのだ。エステルをかばっての名誉の負傷である。
「あら」
「えっと、ジュディ、その返り血は?」
「ちょっと運動不足だったから」
「解消になったか?」
「全然」
ジュディスは外に魔物を狩りに出ていたみたいだ。しかしストレス解消にはならず。少しふて腐れてる。ユーリは小さく笑う。
「相手になっても良いけど武器は刃潰してあるのな」
「良いのかしら? レイブンの怪我の後、ずっと動きぱなしじゃないかしら?」
「剣振ってるほうが元気になるしな」
「ありがと」
「ま、レイブンが元気になるまでしばらく動けねーし」
「そうね」
しばらくして町の回りの魔物やらが減ったのは二人だけのせいではない。他の面々も闘っていたからだ。町で数日過ごす間に何かしら小さな仕事(魔物退治から小物の修繕など)を請け負っていたためだ。
「おっさん、大丈夫か?」
「だいぶね。みんなの活躍聞いてたわよ。そのおかげでおっさん、助かったけど」
誰も居ない間の面倒を宿屋の人が善意で見てくれていたのだ。レイブンをおいていくのはちょっとと考えていたエステルを考慮してのことだ。外で動きまわったり人助けしたりと休めるはずの休みに休まない面々である。
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