「恭也、熱いわね」
「夜だというのに、この熱さだからな」
薄着。恭也と桃子は縁側に座って空を見上げる。星が瞬いてる。しかし、熱さは二人にねっとりとへばりついてるようだ。水分を含んでる空気というのか不快指数はどんどん上がってることだろう。
「師匠、麦茶どうぞ。桃子ちゃんも」
「ありがとう」
「ありがとう、レンちゃん」
階段から音が聞こえてきて、こちらへと顔を出す。
「熱くて眠れない」
「でしょうね」
高町家はただいまエアコンを消したばかりだった。ずっとつけてるのは身体に悪い。だから、一定で切るようにしてるのだが、それが仇となった。なんせ切れた数分後には熱さが舞い戻ってきたのだ。熱くて全員が目を覚ましたのだ。なのはも目を擦りながらもお茶を求めて下りてきたのだ。
「一部屋に固まってエアコンつけるか。流石にこのままじゃあ、夏休みとはいえ身体に障る」
「そうね。私も仕事があるし、それを望むわ」
汗で服がへばりついてるのを恭也は見ない。空を見るという事で逃げてる。女性ばかりの中にいるからこその処世術というところだろう。
「美由希は?」
「お姉ちゃんは、お兄ちゃんが夜の鍛錬で失敗したって気絶したままじゃあ」
「ふむ、このままじゃあ、流石にあいつも脱水で危ないかもしれないな。晶、水頼む。全員分な」
「分かりました」
「レンはタオルケットを頼む。かあさんもな」
「はい」
「分かったわ」
その日、高町家は一部屋でそれぞれがソファやら床やらで眠りに落ちたのだった。
「美由希、何してるんだ?」
「あ、熱くてお水貰おうと台所に行こうとしたんだけど、なんだかふらふらしちゃって」
「お茶貰ったらシャワーでも浴びてすっきりしろ」
「そうするよ。それで物は相談なんだけど」
「ああ。俺は優しいから肩はかしてやるぞ」
「ありがとう」
美由希に肩を貸しつつ恭也は少しだけ後悔した。美由希の身体が熱いからだ。そんなことをいってもすると言った手前放置するわけにはいかないのだが。
「今年は危険な夏だな」
「そうだね。なのはたちは大丈夫?」
「お前より先に下りてきてる。下で皆で寝ることになった」
「恭ちゃんも?」
「俺もこの熱さはかなわん」
「そうだね」
冷房費を削りたいという試みである。扇風機とエアコンを併用する。それだけでぐっと変わるものだから。そして、熱さで参ってるそれぞれが身体の汗を拭い取って眠りに落ちる。ただ、朝になって体が冷えてきて恭也へと張り付いてる桃子、なのはに困るのは翌朝の話。美由希はレンと晶とだった。薄着で布団が無いのが原因なのだが、仕方ないことだろう。これからしばしば高町家で見られる光景だった。
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