「香里~、熱いね」
「そうね。今年も暑いわね」
俺からしたら二人の長い髪の毛をポニーテールにしてうなじが見えてるから嬉しいのだが。夏休み入って受験のために集まった俺と香里。名雪はおまけというか、スポーツ推薦でいけるそうだが、勉強もしないといけない。面接があるのとある程度の学力はやはり必要なようだ。それで、俺たちに混じってしてるのだ。
「相沢くん、どうかしたの?」
「うなじが見えたの初めてじゃないが、あまり無かったから」
「そうだったかしら? 体育のときもばらばらだものね。そりゃあ仕方ないわ。名雪ので見慣れてないの?」
「名雪のは見た事があるが、香里のは無いし、こんな近くじゃないから」
「それもそうね。私も相沢くんの短パン、タンクトップ姿なんて見たこと無かったわ」
「悪いな。汚い格好で」
「お父さんのよりマシじゃない? ほら、白いランニングにステテコみたいなの」
「あ~、確かに」
名雪は首を捻ってるが、父親の見たくない姿であるのは確かだ。あれを見ると夏だなと思う反面、かなり嫌だ。いつか自分もああなるのではって危惧するときがあるくらいだ。なりそうで怖いな。
「とりあえず、エロい目で見てないので許すけど、あまりじろじろ見ないでね。恥ずかしいし」
「ま、勉強目的で集まってるしな。悪い、先生役頼んで」
「いいわよ。お世話になったお礼みたいなものよ。さてと、数学からだっけ?」
「おぅ。頼む」
夏場の勉強会。一人は早々と夢の世界に。汗かきながらだし、途中で起こしてシャワーと水分補給だ。俺たちもだけどな。扇風機が周囲の空気を混ぜる。たまに入る涼しい風が俺たちを撫でて行く。夏の戦争真っ只中だ。
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