「千早~」
「薫子さん、どうかしたんですか?」
台所でデザートを作ってる僕のところに薫子さんが声をかけてきた。どうかしたのだろうか?
「宿題を教えてもらおうかなって。料理してるなら後でお願いして良いかな?」
「私もまだ出来てませんし、一緒にしましょうか?」
「ありがと~」
こちらに顔を出してすぐにもどっていった。薫子さんらしいな。それにしても、作ってるものとか聞かなかったけどあげたほうが良いのだろうか?
「千早、デザート作りってどうしたの?」
「雅楽乃と淡雪さんに。雅楽乃が食べたいって言ってたのを思い出した。ほら、カラスの件でちょっとね」
「ああ。それで。てっきり薫子がまたへそを曲げてかと思ったわ」
「もしかして、欲しいのですか? 普通のプレーンのとココアのクッキーですよ」
「そうね。後で少し貰おうかしら」
「多めに作ろうとしていて良かった」
「さすが気配り上手」
「褒めても何も出ませんよ」
微笑みを浮かべて香織理さんは行った。まぁ、どうせ配らないといけないわけだし。特に手伝ってもらった人用なわけだし。
「後は焼くだけね。その間に居間のほうで……」
セットして台所から居間のほうに移動すると寮生が揃っていた。楽しそうな笑みを浮かべてる。
「あ、お姉さま、作り終わりましたか?」
「史、これは?」
「皆様、味見役らしいです」
「ああ」
食べる気満々って事だ。優雨まで居るし。
「そう。でも、焼けるまで時間があるから宿題に取り掛からせて。時間がかかるから」
「そうですね。でわ、私はお茶の準備でも」
「お願いね。薫子さんもテーブルでだらけてないで始めますよ」
「ええっ!! 先に飴じゃないの!!?」
「私は飴と鞭なら、鞭が先ですから」
「ううっ」
笑い声が響く中、しばし宿題をする。皆でこういうのも悪くないなぁ。
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