「危ない、那美さん」
「あぅ」
「うぁ」
助けようとした側も一緒に転んでしまっていた。それを見ていた面々はため息をつく。毎度のやり取りというわけではないが、那美がこける、助けようとして一緒にこける美由希。恭也としては、仲が良いのは良いんだが、那美と美由希の双方に剣を教えてる者として頭を抱えている。なんせ、やはりこけるからだ。特に姉弟子である美由希が。妹弟子くらいしっかり支えろよって事になる。ただ一度戦いとなればこういうのをさせても問題が無い。どうしたら良いか恭也としても考え物であるのだ。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
一番下の妹、なのはが久遠と共に声をかける。恭也は日々成長する妹に感動しつつも美由希に目を向ける。あの剣士の切れを普段の1%でも出せたら良いのにと思わずにはいられない。まぁ、でも、普段の行動がカモフラージュになってるから良いのかと悩む。結局辿り付くところは己じゃないから良いかというちょっと酷い考え方なのだが。それは恭也の胸のうちである。
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