「アリサ、大丈夫」
「ええ、何とか」
声をかけてきたのは部隊長のカグヤ(主人公)さん。私が吹き飛ばされたのを見てだ。最初はコクーンメイデンとオーガテイルの討伐だけだった。だけど、それはすぐさま覆されることになった。目の前にはヴァジュラ。雷を操る。危険度もかなり増す存在だ。
「困ったわね」
本来ならヴァジュラが出てきたと分かった時に第一部隊全員で事に当たったりするし、まさか休みを与えたのにこんなのと遭遇は考えてなかった。いや、考えておくべきだったのか。
「どうしますか? 撤退しますか?」
「駄目ね。逃してくれなさそうよ」
後ろを見てるカグヤさんに私も振り返る。二体目!?
「二体」
「一人一体ね。一対一に持ち込まないで混戦しましょう。ずっと狙われると思って闘うしかないわね」
決断は早い。それでも、状況は厳しい。
「一応連絡はしておいたわ。しばらく待ってくれって連絡があったわ」
「あの」
「なに?」
「ガンナーよりロングとかのほうがいいですよね?」
「逃げ回ること、一体になったらそちらを集中しましょう」
「分かった。カグヤ、頑張りましょう」
生死を分けた戦いはあった。シオちゃんに関しても、あの時も。だから、私は目の前を見る。背中を預けられる仲間が居る。心強い仲間が。
「来る」
その鋭い声に私も構える。背中が遠ざかる。戦乙女カグヤ。それが私たちの中での通り名。私も目の前のヴァジュラに集中する。そう、こちらは避けることに集中したら良いのだから。あちらはあちらに任せるだけだ。信頼してるのだし、カグヤは本当に強いから。仲間が到着するまでに一体は倒せるといいんだけど。ソーマあたりは着てくれるだろう。あれでカグヤを一番見てる人で優しいから。ぶっきらぼうですけど。考えてる余裕も無さそうね。
「アリサ、行ったわ」
「そっちに行きました」
同時の声に二人して一度目を合わせて頷く。負けてなるものか。
ソーマが着て戦いが楽になったために、ヴァジュラ二体もついでに討伐となった。危険度が上がったことに対してカグヤは上には伝えたが、それでも変わらないだろう。外に出れば危険なのだ。どこだって、狙われるのだから。それを討伐し続けるのが私たちなのだから。
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