「ユーリ、お手伝いしましょうか?」
「ん、エステルは待っててくれ」
「でも、ずっとお料理作ってますし」
「ん~~、まぁ、気にするな。俺が食べたい物作ってるし」
戦闘終了後の楽しみというか、料理で回復というのはある。何より、ユーリは色々と作ってる。これまでに、サンドイッチをはじめ、料理人から受継いだ料理や皆がそれぞれ創意工夫した料理までも作ってる。国お抱えの料理人となってもおかしくないほどに美味しい料理も作ってるのだから、エステルとしては喜ばしい限りだ。しかしである。ユーリは甘い物が好きだし、それぞれにテクニックの居る技などを使うため、甘いのは確かに良い。だが、そこはそれである。女性たちにとって甘い物は甘美な毒なのだ。体重という目の前の現実に。動き続けてる面々は構わないが、動いて居ない面々も食べる。太るのはよろしく無いのだ。
「もしかして、皆、困ってるか? 甘い物づくし」
「えと、はい」
少し悩んだがエステルは漏らした。飽きたというよりも、効率重視しすぎではって事だ。たまには違うのが食べたいというのもあるだろう。ユーリは分かっていながらにして、作り続けていたのだ。
「今回で終りだよ。材料切れたし。次はさばミソかおにぎりとかになると思うぞ」
「そうなんです?」
「ああ。それに、俺が好きなの作ってばかりじゃあ悪いしな」
「ユーリ、甘いの好きなんですね」
「まぁな。さて、食べないなら俺が貰っておくから、皆にも伝えておいてくれ。完成したし」
「分かりました。私は貰いますね」
「どうぞ」
そんな二人を見ている面々。料理に対してそれぞれが何か言おうとしていたが、エステルが伝えてくれたおかげでそれぞれにしこりなくすみそうだ。何気にレイブンが嬉しそうなのは甘い物が苦手だからだろう。甘味尽くしは流石に大変という事なのだ。ただ、この時、皆知らなかった。テクニックが使えなくなるという大変な事態が起こりうることを…
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