「もしも、私がユーリとお付き合いっていうです? 出来たら素敵じゃないですか?」
それは不意に発せられた言葉に宿屋で休憩していたパーティメンバー全員はそれを考えてみた。エステルとユーリがお付き合い。どうにもイメージがわかない。なんていうか、お互い無茶しそうだし。どうにもアグレッシブなカップルしか思い浮かばなかった。リタは少し考えて『やめておいたほうが良いんじゃない』とか思っていたが、声には出さなかった。
「悪か無いだろうけどフレンやシュバーンやらが怒るんじゃないか? 後、ヨーデルとか」
「そうでしょうか? フレンは分かりませんけど、ヨーデルなら喜んで押してくれると思いますよ」
「その前の段階で、ユーリの出は分からない上に、皇族にそういうのは駄目でしょうに」
レイブンの最もな言い分に理解はするが、エステルは『それはそうですけど』と想像くらいは良いじゃないかって事なのだ。カロルもそれはそれで良いかもなぁなどとおもう。ちょっと黒いが『凛々の明星』としてもバックが居る上に、仕事も増えそうだからだ。
「でも、ユーリだったらお城から連れ出してくれそうですし、皆と会えるじゃないですか。リタやカロル、ジュディスとも」
「簡単に言うけど、お城から出るって大変だと思うんだけど。それにそれくらいならお付き合いじゃなくても出来るだろうに」
出来ないと言わないユーリにレイヴンは頭を抱えた。そんな簡単に連れ出さないで欲しいものだ。確かに敵対したいとは思わないけども。なんせユーリだったら出来そうで恐ろしい。いくらか蹴散らしてでもいけるだろう。シュバーン隊の面々の苦い記憶が分かる。
「そうですか?」
「ま、とりあえず、世界救ってからだ。ジュディもそう思うよな」
「でも、先を考えるのも悪くないんじゃない? 私もユーリとお付き合いとか面白そうだし」
「ジュディスちゃん!?」
「でも、これで世界なんて救っちゃたら確実に僕らの名前は売れるから仕事一杯だよ。レイヴンだってユニオンのこともあるし、リタだって忙しいだろうし、エステルもじゃないの?」
先も書類やら魔物退治やらで忙しなくなりそうなのは全員が理解した。カロルの言葉に顔を青くしてる年長など分かりやすい。彼らの戦いはこれからも続きそうである。まぁただこの面々、世界の強者を悉く凌駕する猛者であるのだが。要らぬ心配であるかもしれない。
PR