「かなでさん、よく外から着ますよね。陽菜も」
「そうだけど、問題あるの?」
「いや、もう秋も更けてきて冬も近いのに寒く無いのかなぁって」
「あはは、孝平は心配してくれてるの?」
「ええ」
お茶会ということで二人とも来るのだけど、白ちゃんと副会長の二人は扉から来るし、紅瀬さんもそうだし。寒くないのかなぁっていうのと風邪を引かないと良いけどと思うのだ。かなでさんは大丈夫なように見えるけど、それでもだ。
「風邪を引いたりしたら心配じゃないですか。かなでさんが風邪を引いたら陽菜も心配するだろうし」
「それもそっか」
納得したらしい。まぁ、今度からこちらに来るときはちゃんと扉から来てくれるだろう。実際窓を開けるのは冷えるからあまり良くないかなぁという考えからなのだけど。換気はするけどって事。
「そういえば、他の面々は?」
「司はもうすぐじゃないかな? 副会長は今日は遠慮するって言ってた。紅瀬さんと白ちゃんは一緒に来るそうだけど」
「そう。じゃあ、お茶の準備するね」
ドアがノックされて中に入ってもらう。何故か副会長も一緒だった。多分白ちゃんにお願いされたかなんかだな。紅瀬さんとの仲もあるていどマシになったとはいえ、もう少し仲良くというのが白ちゃんの望みだし。
「どうぞ」
「そういえば、こ~へ~は生徒会のほうは大丈夫なの?」
「ん、大丈夫だけど、なんで?」
「いや、意外と外を歩いてるの見てると仕事してないで歩いてるように見えるから」
何気に失礼だなぁ。あれはお使いというか頼まれたものを運んだりしてるだけなんだけど。
「あれは提出物とかを持っていってるのと途中で声をかけられて手伝ってるからですよ」
「へ~」
「支倉先輩そんなことしてたんですか?」
「通りで帰ってくるのが遅いわけね」
何故か生徒会の面々がこちらを見る。何か悪いことした覚えないのだけど、身が竦む。白ちゃんは東儀先輩が居るわけだし、残り二人はちょっとね。
「頼まれたら断りにくいし。まぁ、たいした用事頼まれてるわけでもないから」
「そうだったんだ」
「そういえば、この前は美術部のやつらで次は女子バスケットんで、ソフトボールにって結構女の子から声かけられてるよな。お前って」
「「ほほぅ」」
副会長とかなでさんの声が重なった。楽しそうな笑みを浮かべてるし。司余計なことを。いや、まぁ、その通りなんだけど。あれは確か備品チェックだったかな。あの提出遅れてるとか、そのあたりなのだけど。理解してくれないだろうなぁ。この後お茶会は普段の行いチェックへと移行したのだった。陽菜と白ちゃんの優しさには感謝だ。要約すれば『優しいから断りにくいんだよ』ということで落ち着いた。
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