「桐葉」
「なに、伽耶」
「支倉を呼び出せ。携帯とやらで呼び出せるだろう」
「呼び出せるけど、急にどうしたの?」
伽耶の急な申し出に私は戸惑いつつも、携帯で彼にメールを出す。私や千堂さんを受け入れた彼だが、なんだかんだで千堂一家の親子関係改善にも一役かった人物だ。色々と恩もあるのだが、伽耶は何かと支倉くんを気に入ったみたいで、こうやって呼び出す。一応休みの日と遠慮というか、考えてはくれてるみたいだけど。
「着てくれるって」
出してすぐにレスが来た。すぐ行くって言ってくれるあたり大助かりだ。拗ねると大変だし。これでもだいぶ丸くもなったし、良い方向に進んでるのだと思うのだけど。
「桐葉、ありがとう」
「良いのよ。このくらいなら」
「私も携帯買おうかのう」
「そうするといいわ」
私でも使えるのだし、大丈夫だろう。しかし、どうなんだろう。私に連絡溶かしてきそうで恐ろしい限りだ。一応授業もあるわけだし、こういってはなんだが、伽耶は学園の理事だし。
「でも支倉くんに用事ってどうかしたの?」
「あ~、たいした事じゃないんだが、私や桐葉では、娘に何かあげたい場合とかの経験が無いだろう」
「息子には無いんだ」
「あやつにはあやつで欲しいものを聞いたら答えてくれるからな」
「なるほど」
一家団欒をちょこちょこと取っていて話したということだろう。私はその席は辞退するので分からないけど、確かに私じゃあ分からないわ。
「誕生日とかでは無いが、今まで迷惑をかけたからな。何かしてやりたい」
「その気持ちだけで十分喜んでると思うのだけど」
「それはそれ。これはこれだ。何より私が何かしたいからな」
「そう。それじゃあ、その席には私は一緒に居ないほうが良いのかしら?」
「いや、居てくれ。お前の意見も聞きたいからな」
「分かったわ」
三人で悪巧み。ふふ、楽しいかもしれない。別にプレゼント渡すだけだけど、伽耶は中身と渡すことに集中してるけど、何か違う趣向も凝らしたいものね。毎回私が追い回されたり、追いかけっこしたりだったから。たまには私が罠を張り巡らしたいわね。支倉くんは乗ってくれると良いのだけど。乗るでしょうね。なんだかんだで楽しい事を楽しめる人だから。
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