「カロル、どうかしたです?」
「あ、エステル。うん、実はこれが壊れちゃって」
カロルが取り出したのは、自身が使ってる頭防具の止め金だ。激しく動く分ずれたりしたら大変ということで付けられてるのだが、丁度その部分が引きちぎれていた。
「今日の戦闘の時にね」
「私を守ってくれたときですよね?」
「ううん、そのあとの戦闘だよ。ほら、レイブンを守ったときに、良い感じで吹っ飛ばされちゃったから」
あのあと、すぐさまレイブンはカロルに回復させたが、身体より防具にダメージが入っていたのだ。そこまでは直せないのでカロルは自身の器用さで直してるのだ。
「怪我とかは?」
「レイブンが念入りにみてくれたんだ。なんだかんだで責任は感じてたみたいだし」
それでも、間違いなくジュディスだったらと考えてただろうというのは分かる。
「流石に少年に怪我負わせたら、ユーリとジュディスちゃんから殴られそうだし」
「あ、レイブン」
「その留め金は流石に直せないと思うので、これ、青年とジュディスちゃんから」
「え? 買いにいってくれたの? お金、此処にあるのに」
カロルはそういうとバッグをあける。確かにパーティ用のお金は減ってない。
「謝っただけじゃあ悪いと思ったのよ。で、ジュディスちゃんに頼んで連れて行ってもらったの。まぁ、ついでに大量に食料もたかられたけどね」
「この近くだと、ダンクレフト?」
「そういう事。あそこなら顔もきくしね」
「通りで居なくなってるはずですね」
「リタっちと犬とカロルとエステルが居れば大丈夫だろうって」
確かに大丈夫だろうが、信頼されてるというかなんと言うかである。
「そういえば、ユーリとジュディスは?」
「ダンクレフトで頼まれ事うけちゃってね。といっても、魔物退治なのだけど」
「どうかしたんです?」
「どうにも、魔物が橋のほん近くで生活してるみたいなのよ。で、住人からしたら危険だから対峙してほしいのだけどって。丁度今、闘えるギルドが出払ってたみたいで、それを引き受けてるから、そのうち戻ってくるわよ」
「料理でも作って待ってようか」
「そうですね」
おなか空かせて帰ってくる二人のためにって事だ。ラピードもエステルも頷く。ギルド『凛々の明星』順調のようである。
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