「ん~」
味見をしているユーリを後ろからじーっと眺めてるエステル。戦闘狩猟後のご飯という奴だ。戦闘のメンバーで無い人がしたり、色々と交代してしてるのだが、ユーリは料理がうまく、苦手なものが少ない。そのために料理でマスターして無いもののほうが少ない。そのためちょこちょことしている。本当に面々が疲れてるときは自身の疲れを押してでもするのだ。その様子をやはり心配げに見てる者もいるわけだ。
「お~い、ってうわっ。エステル、そんなに腹へってたのか?」
「違いますっ。心配してるんですっ!」
無茶をして倒れられたらやはりそれは悪いと思うのだ。ユーリからしたら、自身のことをもうちょっと心配してくれと思うほうなのだが。
「とりあえず、カレーできたし皆呼んできてくれ」
「分かりました。もう」
戦闘メンバー主力二人なのだが、たまにこういう光景を見る。ユーリは闘ってると元気が出てくるからって事でしょっちゅう変わって、戦闘してるし、皆が疲れてるならと一人で料理を作る。それを心配そうに見ているエステル。
「エステルって、ユーリのこと、好きなの?」
「ええ、好きですよ」
カロルの何気ない問いかけにさくっと答えるエステル。おっさんはむせて、リタはお水を飲んでいた。
「いや、そうじゃなくて、ユーリのこと恋愛感情込みで」
「そういえば考えた事がありません」
少し上を向いて考える。ふとユーリを見ると、ユーリは知らん顔でカレーを食べていた。
「青年はどう思ってるのかしらね」
レイブンの一言でユーリのほうを向くが、ユーリはすでに座っておらず、いつの間にかいなかった。
「あれ? ユーリは?」
「食べ終えたみたいね」
「ジュディス、教えてくれても」
「そうかもしれないのだけど、今はそういうのを後回しにしたいと思ってるんじゃないかしら」
「ジュディスちゃん?」
「星喰みのこと、デュークのことを考えるとね。おのずと答えは出てくるのよ。今、それに気持ちが傾いたら、動きたくても動けなくなるものよ。私もね」
それは闘う者としては正しいが、人としては悲しい。
「それもそうね。さてと、そろそろ移動かな」
「そうですね」
「ま、これらのことが終わったらじっくりと聞きましょう。あいつの考えを」
「そうね」
リタとジュディスがにこりと笑う。カロルとレイブンはぞくりと背筋に冷たいものが流れた。ユーリ、終わったら頑張れと二人は心の中でエールを送った。
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