「エステル!」
「きゃっ!!」
魔物の攻撃を受けて大きくよろめいた彼女に声をかけたのはカロルだ。前線と魔術師との間くらいの位置に居たからこそ気づいたが、ちょっと遅かった。
「活心エイドスタンプ!」
カロルの声が響いて、エステルの傷が回復する。
「ありがとうございます、カロル」
「ううん、それより次が来るよ」
戦闘に入って早数分。敵はだいぶ減ってるように見えて減ってない。
実は囲まれていて、前線といってもユーリとジュディとラピード三人がかなり動き回って敵を倒してる。といっても、三人(一匹)は相手の間合いに入らぬように動いてるのだが。
「ファーストエイド!」
「ありがとう。ファイアボール!!」
魔法を唱えつつ、周囲に着てる魔物を炎の魔法で追い払う。追い払われた魔物はユーリの剣の餌食となっていた。ユーリにしても援護には向かいたいが中々に厳しい状態だ。
「愛してるぜ!」
レイブンが回復の矢を放ちながら周りを見る。
「おっさん、どこか抜け出せそうなところは無いか?」
「見てるのだけど、無いわ。殲滅の方が早いかも」
そういわれてユーリはジュディを見る。どこか一点でも開ければと思ったが、魔物の群れがよそうより大きかった。そして、ユーリとジュディスは間合いも広く素早く敵を倒せる技をチョイスしていく。
「はらぁくくれよ!」
「いくわよ!」
二人の声が響き周囲の魔物たちは光と消えていく。回復や攻撃を繰り返しながら、魔物は着実に減り、いなくなっていったのだった。
「疲れた~」
「というか、何で急に?」
「そうですね。繁殖期とかでしょうか?」
「違うと思うわ」
急に増えた魔物退治。面々に頼まれた急な仕事だ。本来ならブレイブヴェスペリアの面々の仕事だが、それぞれも手伝うことになったのだ。まさかこれだけ増えてるとはっていうのが本音だが。
「ほい、とりあえず料理作ったぜ。甘いのと、普通のと」
「悪いわね。一番動いてたと思うのだけど」
「まぁな。でも、疲れてるときには料理でも食べておかないと持たないぜ」
「ユーリは疲れてないの?」
「多少はな。流石に量が多かったし、ジュディもだろ?」
「そうね。バウルに来てもらって町で休みましょうね。今日は」
「そうだね」
流石にこんな野原ど真ん中で休む気は無い。何より周囲の警戒だけで疲れる。先ほど並のがまた着たら大変だ。だが、後日、この面々はこの場に来ることになる。ビッグボスが出たという事で。
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