「ユーリ」
「シャスティル、どうかしたのか?」
「ちょっと、こっちに着なさい」
「ん?」
首を傾げるユーリを連れて行くのは本来はフレンの教育係のシャスティル。ヒスカはフレンと話してるので、まぁ良いかとユーリも歩いていく。本来なら断りを入れたりして離れるものだが。このあたり気にしないのがユーリだ。
「よくヒスカと剣の稽古してるみたいだけど、ヒスカは自分の方がって気にしてるのよ」
「わざと負けろってか。俺、そこまで器用じゃね~よ」
シャスティルはそれを聞いて、それもそうだと結論付ける。
「第一、俺は魔法とかあまり、な」
魔法の才能が無いとかもあるが、ユーリは座学が苦手だ。よく寝ちゃうし、そのたびにヒスカから叱られてる。本人にとっては気にしないレベルだろうが。だから、魔法はあまり特異じゃないのも分かる。
「なるほど。分かったわ。ヒスカに関しては私が何とかするわ」
「わりぃ」
その言い方はどこか隊長と似ていた。勿論、言葉だけ。シャスティルはそういえばと思い出す。
「ユーリ、今度私がユーリを、シャスティルがフレンを見るって分けてみるかも」
「いいんじゃね~か。別に俺は困らないし」
「そ。それならいいわ」
シャスティルとしてはだが、ヒスカが少しでも気休めになればというのもある。
「それに、俺たちに拒否権無いだろ」
「それもそうね。隊長に話してからだけど、秘密にしておいてね」
「分かった」
そして、これは実行されることとなるのだが、ヒスカは結局、どちらの教官でも落ち込んだという。
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