日記のため、ホムペに設置
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「恭也様、どうかされましたか?」
「いや。ちょっとな」
「私のことですか?」
「……むぅ」
理解されてるというのは分かってるつもりだ。だが、忍と俺との結婚を彼女は後になって聞いたのだ。何とも辛い事だとも思う。だが、彼女は、ノエルは微笑みを浮かべてる。感情が無いとか言っていても、実際にはあったのだ。だが、本人が気づかないだけで。
「お嬢さまと恭也さまの結婚は私にとって嬉しいことです。お子様が居るなら尚更ですが」
「それが不思議なんだが、嫌じゃないのか?」
「私には子供を産めません。ですから、共に居れるのは嬉しいかぎりです。それに、恭也さまがこうやって時間を作って一緒に居てくれますから」
「忍がなんだかんだと作ってくれてるだけなんだがな」
「そうかもしれません。ですが、共にいれてます」
「そうか」
「それに、恭也さまとの逢瀬を許されるというのは、妻としては不安だと思いますよ」
「かもしれんな」
「だから、恭也さま、一時は私のことを。恭也さまが私を思うことと同じように」
「分かった。すまんな」
「いいえ。最もな意見だとも思いますから」
ノエルと一緒の日。子供は忍と共に居る。ノエルの家の掃除などを自分がしてるのだそうだ。あまり細かいのはしないが。そして、俺はノエルと共に居る。忍にとっては心配つきないことだろう。だが、望んでいたことでもあるようだ。ノエルの感情と俺というキー。それを自らも望んだのだから、良かったという言葉がちょっと嬉しくもあり、悪いとも思ってる。
「恭也さま」
「ノエル」
だから、この一時をノエルと共に過ごそう。またにぎやかになるのだから。静かな、和やかに。
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「相沢さんは、強くあってください。私は弱かったから」
それが天野美汐の最後の言葉だった。
「ごめん、相沢くん。私は弱い人だから」
それが美坂香里の最後との言葉だった。
「祐一さん、佐祐理は舞と一緒に居ます」
それが倉田佐祐理の最後の言葉だった。
俺は一人どうして良いか悩んで考えて、結局何も出来ずにいた。誰も助けられず、過去のことを思い返し、思い出しても、何も出来ず。彼女たちは俺が過去したことによる二度目の決別により、死を選んだ。しぶとく生き残ってるのは俺だけだった。名雪も、秋子さんももう居ない。真琴も、舞も、栞も、あゆも。過去を思い出し、慌てて色々探し回り、そして、見つけたのは息を引き取るほんの少し手前だった。月宮あゆは数年前から意識を戻すことなく、死んだ。無力とかそんなんじゃない。過去の事があって、覚えててもどうしようも無かったかもしれない。彼女たちを死から助ける方法はあったかもしれないし、無かったかもしれない。それでも、俺は無力だと突きつけられた。両親が来て、色々と大人の事情的なものは片付けてくれた。
「祐一、どうする?」
「母さん?」
「此処に居ても辛いなら、私たちと来る? それとも、日本のどこか違うところに移る? 引越し多かったし、他のところでも良いわよ」
かあさんだって秋子さんが事故死は辛いだろうに、それを表に出さない。父さんが受け止めてるのだろう。俺は……
「日本を離れたくは無いし、以前一番長く住んでいた街に居させて欲しい」
「……そう。分かったわ。一緒に居てあげたいけど、難しいし、一人暮らしは流石に、ね」
「ああ。じゃあ、どうするんだ?」
「幾つか電話かけてみるわ。祐一、もしも無理だったら強制で私たちと一緒ね」
「分かった」
もう、どうしようもないこともあるけど、それでも。そして、俺は違う街へと引っ越した。父さんの大学時代の仲間で今でも仲が良い人。そして、俺も知ってるおじさん、おばさんが居て、年が近い姉と弟が居る家だった。父さんや母さんの謎の人脈だとふと思う俺だが、秋子さんも謎だったなと納得するのだった。
「ラムザ、エーテルってあるか?」
「無いよ。今お金も切らせてて、仕事に出ててもらってるけど、微妙なところ。戦闘したほうが早い気がしてきたよ」
金策というのはどこのパーティでも必要で、ラムザたちも例に漏れない。勿論、その金策が出来れば問題は劇的に減るわけじゃなく、また必要なのでカツカツでしてるというのがどこのグループでも同じだ。溜めてっていうのは難しいし、ラムザたちは大所帯なのだ。
「マラーク、頼みがあるんだけど」
「なんだ?」
「ラファ呼んでてきてもらえないか?」
「ラファに。何か頼みごとか?」
「いや、前にラファが身体捌きだけでも教えてほしいって頼まれてたから。僕も身体を動かしたいんだよ」
「そういうことか。他に頼めば良いのに。俺とか」
マラークの言葉は最もだが、ラファはラムザに惹かれてる。勿論、戦闘の部分もあるのだが。
「まぁまぁ。お兄さんだと心配されすぎてとかあるんだろう。それに護身術使えたら、ラファが下手な男に誑かされる前に無事に帰ってくるだろうしね」
「ラムザ、任せた」
ラムザは妹を思い、言葉を出した。マラークも同じだ。そして、ラファとラムザはすれ違いつつも、鍛錬を始める。色々な思惑が絡まりつつ。人が集まれば色々と思惑が出てくるものである。
「段々と寒くなってきたな」
「そうだね。でも、恭ちゃん、私たちって行動そんな変わらないじゃない?」
「そうだが、動く前は準備を怠らないようにな」
「はぁい」
「小さな怪我が大きな怪我に結びつく可能性もあるからな」
「そうだね」
剣士として、鍛錬で怪我が悪化など、三流もいいところという考えの二人。そして、そのために、鍛錬には細心の注意を払うし、怪我や病気も気をつける。体調管理というのは一人の人としても重要だからだ。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんお帰り」
「ただいま、なのは。珍しいね」
「たまたま目が覚めたの。さっきだけどね」
朝の鍛錬から戻ってきたらなのはが出迎えたことに、美由希はちょっと驚きだった。
「寒さで目が覚めたのだろう。顔は洗ったか?」
「うん。あ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、おはよう」
「そうだったな。おはよう、なのは。それと、ただいま」
「おはよう、なのは」
仲が良い兄妹の図である。美由希、恭也は手を洗ってうがいをする。これも日課のようなものだし、その後シャワー(お風呂)に入る。風邪というよりも、汗かいたまま学校に行くのはちょっとという考えだからだ。そして、何時ものように日常が始まる。ちょっと違う秋と冬の間の頃の話。
「リインフォース」
あの別れから私は主が居ない。多分普通の人と変わらない状態になっているだろう。そして、今も違うお宅に身を寄せさせていただいてる。優しい家族、暖かな家族のところ。異世界、パラレルワールド。そう捕らえて良い場所に。主はやてとはすでに会った。違う人であった。足の不自由さもなく、家族も共に暮らしている。ただ、違う点はここには魔法という概念が無い。だから、高町なのは、フェイト・テスタロッサといった面々の魔導師は存在しない。今のところ。
「リインフォースさん、どうかしたんですか?」
「仕事が見つからなくて落ち込んでいるんだ」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんが連れてきたからある程度のことは考えてると思いますけど」
それは分かる。それに、此処の住人、いや世界の人たちはちょっとおかしい。魔力反応が小さくともある。勿論、全員が全員魔導師というわけじゃないし、魔法という概念が無いのだから当たり前だ。ただ、それなりの訓練をつめば一級の魔導師になれると言えるのだ。しかも、それぞれに個人技能というのか魔法を使ってる。レアスキル。そんな言葉が浮かぶが、はっきり言えば一家族や受継がれるものなのだろう。魔導師体質みたいなものが。修練の先とはいえ、ありえない光景に見える。
「なのはは優しいな」
「それに、お母さんが働くところないなら家でって」
「それは悪いだろう」
部屋まで借りてだし、食事まで。
「気にしてないと思うよ。それに、最初の頃のリインフォースさん知ってるから。また無茶したら駄目だよ」
「あ、ああ」
この世界に来た頃、荒れてたというか、分からない世界と人になったという混乱から当り散らしたのだ。ちなみに魔法は使えるのだが、二人に取り押さえられた。二人とも新たなものを見ても冷静に対処し、私を気絶させたのだ。まぁ、三度か四度ほどで私も落ち着いたのだが。後出てきた場所が良かった。山奥だし。その後、此処に共に来たのだ。なのはは落ち込んでる私を見てなごませてくれた一人だ。
「何とか還る手段もお兄ちゃんたちも探してるし」
「難しいだろうが」
「なのは、リインフォースさん、二人して何話してるんだ?」
「お兄ちゃん。ほら、リインフォースさんの還れるって話」
「まぁ、多分だがな。それよりそろそろお昼だ。俺たちだけだし、何を食べる?」
晶とレンの二人は出かけてるそうだ。片方は合宿で、片方は病院だそうだ。レンは、主はやてに似ている気がするのだが。ただ、こちらの恭也はむこうのなのはの兄とはだいぶ違う。
「何を考えてるか知らないが、お前ももう家族だし、無碍にはしないさ」
「ああ。ありがとう。昼は適当で構わないのだが」
「お兄ちゃんが作ったチャーハンが良いな」
「そうか。レンのほうが美味しいと思うが」
「お兄ちゃんのも美味しいよ」
「そうか」
そして、家に上がっていく。気配が極端に少ない歩き方。いや、移動方法。
「しばらくしたらきたら良い」
「はぁい」
「分かった」
私の手を取るなのは。
「手伝おうか?」
「それは助かる」
「リインフォースさんも」
「分かった」
還れるかどうかはかなり微妙なところ。還れないだろう。もしも此処に居て、人なら間違いなく私も年老いる。これが今までの罰だとしたなら、罰とはいいずらい罰である。神が居るなら、なんとよく分からない事をしてくれるのだろうか。