日記のため、ホムペに設置
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「お兄ちゃん、どうかしたの?」
「あ~、いやたいしたことじゃないんだ」
恭也はなのはの質問に何でも無いと返事した。だが、恭也はとある少女を家族の誰にも言わず入院させていた。その少女は意識が無いだけで、そのうち起きるであろう少女。なんだか色々と不思議だが、HGSでも無さそうということは分かってる。恭也が調べてもらったのだ。海鳴大学病院の医師に調べてもらった結果なのだから信憑性もあるというものだ。
「でも、悩んでるように見えるよ」
「まぁ、そうだな。悩んでるというか、まぁ、ちょっとな」
意識不明で入院。検査結果は良好。起きても大丈夫ということで、起きたのだ。目を覚ましたが正しい。最初は此処がどこかと聞かれて少女に答えた。少女は此処がどこかを聞きたかったわけじゃないというのは理解した。敏い子であるということも。そして、恭也を『パパ』と呼ぶのだ。何故か聞いたら『駄目?』と涙目で聞かれてしまい、そのままである。
「なのは、うちに新しい家族が出来たら嬉しいか?」
「新しい家族」
「ああ。妹と言うか、なんていうかだが」
「なのはは嬉しいよ」
「そうか」
多分高町母は喜んで引き入れるだろう。恭也は小さく息を吐き出す。身寄りの無い少女を問答無用で放り投げるなど出来ない。だが、それでもと考え込んでしまうのだ。勿論、恭也とて何か他にと考えてるが、意外と行動力のあるあの少女だからこそもある。
「後はかあさんくらいか」
「お兄ちゃん新しい家族が出来るの?」
「まぁ、なれたら良いなとは思う」
「そうなんだ。とうとうお兄ちゃんに彼女さんが出来たんだね!!」
喜び一杯のなのははそう言いきった。だが、恭也は首を捻る。彼女が出来て家族になるっておかしくないかって意味でだ。ただ、その声は家に居た、晶、レン、美由希には聞こえていた。そして、それが色々な騒動への一歩となるのだった。
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「フェイトちゃん、肩に糸くずがついてるよ」
「え?」
なのはがフェイトの肩から糸くずを取る。どこでついたかとか分からないが、身だしなみというのは大事だ。フェイトもそれに「ありがとう、なのは」と返す。管理外世界の地球で二人一緒に帰るのは時たまある。はやてとも一緒という三人一緒は無いし、今日はアリサとすずかも習い事があるため、一緒ではない。
「掃除中にでもついたのかな」
「そうだと思うけど。明日の宿題ちょっと多いよね」
「あれ? 出てたのって先週じゃなかったっけ?」
「そうなんだけど」
フェイトは言葉を濁す。なのはは首を捻るが、何となく思い至った。
「そっか。執務官の勉強してるんだったっけ」
「うん。ちゃんと両立しないとって思ってるんだけど、間に合わなくて」
「それくらいなら良いよ。翠屋寄っていく? 家に来る?」
「私の家でもいいんだけど」
「そうしようかな。お母さんたちには連絡しておくよ」
「ごめんね」
「それくらい良いよ。それに、私も危なかったし」
「え?」
「ほら、丁度土日にあったじゃない。お姉ちゃんに教えてもらったし」
「ああ」
学業と嘱託との両立は厳しい。なんというか、大変なのだ。色々と。そして、なのはとフェイトも渦中の人物であるからこそ、どちらかが段々と厳しくなっていく。中学を卒業は後二年は先。まだ中学に上がったばかりなのにだ。
「フェイトちゃん、この先考えてる」
「一応はね。なのはは?」
「一応かな。でも、お父さんにもお母さんにもちゃんと相談しないと」
「そうだね」
お互いに思うことはある。それでも、進路はやはり相談しないとという思いはある。親思いである。そして、それぞれに歩いていく。未来へ、と
「つぅ」
「ふぅ」
朝の鍛錬。それは何時いかなる時も欠かさない。それが美由希と恭也であった。勿論、二人とも初詣とかも行くのだが、そちらはそちらとちゃんと区分けてる。道場で実戦形式で小太刀をあわせる。
「今年こそは1本とるよ」
「そうしてほしいものだ」
毎年、何かしら目標を立てて努力する。美由希は恭也から1本を取ること。そして、恭也はいつかの背中を追いかけていたが、半ば諦めてる。そのため、美由希の願いそのままを使うのだ。美由希が1本取れるように鍛えると。
「今日はこれくらいだな」
「ありがとうございました」
「先にシャワーを浴びて来い」
「はぁい」
女性のほうが着替えも準備も時間がかかる。このあと皆で初詣に出るのだから、当たり前だ。そして、恭也は神棚の前に立つ。美由希が出て行って遠く離れたのを感じて声を出す。
「父さん、もうすぐだと思う。だから見守っててくれ」
それは恭也にとっての誓い。美由希を立派な剣士にするという。墓前にも挨拶はしないとなどと考えつつ、自分の分の片付けを終えて歩き出す。己もお風呂に入り身体を温めないと風邪を引いてしまうかもしれないから。これは何時もの高町家の新年。
「あけましておめでとうございます、秋子さん」
「おめでとうございます、祐一さん。ところで、こんな朝早くにどうしたんですか? 確か夜中に出て行って初詣も終わらせてきたと思うのですけど」
「ええ。目が覚めたのでこのまま起きようかと。名雪たちは寝てるでしょうが」
「そうね。名雪も一緒に行ってたのですし、今日はずっと寝てるでしょう」
「受験しなくて良いからでしょうね」
「祐一さん、あのこと本気ですか?」
「ええ」
水瀬秋子は今年終わる少し数日前に相沢祐一の進路について聞いた。それまで一度も相談もされてなかったし、どうするのかは具体的には聞いてなかったが、本人の口から出た言葉に驚きこそすれ、それは仕方ないと思った。
『親友がその町にいて俺に着て欲しいって頼まれたんです。最初俺も難しいと言ったのですが、家のことや大学も近くあるし、学力も大丈夫そうなので、そちらを受けてみます。落ちるかもしれませんが』
そういって、苦笑いと共に担任の前でも言ったのだ。秋子としては寂しいという思いもある。だが、そういうものなのかもしれない。名雪もそのうち出て行くことになるかもしれないのだから。
「今更聞いては悪いのですが、あゆちゃんや真琴に伝えてあげますよね?」
「決まったらです。流石に先に言って、落ちましたって事だと格好もつかないですし、俺が恥ずかしいんですよ」
「そうですか」
もう少し前に伝えて欲しいというのは秋子本人の我侭だ。今のこの時間だって本人にしてみれば惜しいだろう。
「あちらの親友は大切な女性ですか?」
「違います。本当に大切な友達です。俺がふて腐れ、塞ぎこんだ時期に手を取ってくれた」
「そうですか。それじゃあ、尚更頑張らないといけませんね」
「はい。あ、コーヒー貰っていきますね」
インスタントだが、祐一は好んで飲む。単なる眠気覚ましとかなら、秋子自身が入れたほうがいいが、インスタントを飲むのは祐一だけだ。『秋子さんのより美味しくないけど、飲むとちょっとだけすっきりするから』とのこと。秋子としてはつまらない部分だが、紅茶などは入れるのだから、こだわりがあるのかないのかという所だ。
「秋子さんには無理とか、我侭とか言いっぱなしですみません」
「いいえ。良いのですよ。昼過ぎには起こしますので」
「はい。楽しみにしてます」
祐一が言ってるのはおせち料理だ。秋子がおきてた理由はそれだ。普段とは違う豪華な料理の数々。名雪たちが起きてからというわけだ。祐一は一つお皿から太巻き寿司を取っていってしまった。
「あらあら」
ああいう部分は昔と変わらない。小さな頃、ああやって取っていったなぁ。つまみ食いというにはちょっと豪快だが、それがまた男の子だと思うと良いなぁと姉を見たものだ。ああいうのも楽しそうだという意味で。
「もうすぐで終わりですし、祐一さんの部屋にあまりを持っていきましょう。おなかもすいてるでしょうしね」
手を動かして水瀬秋子はお皿に分けていく。優しく、丁寧に。楽しそうに。
「メリークリスマ~ス&名雪誕生日おめでとう」
「メリークリスマス、それにありがとう。あゆちゃん、真琴、お母さん」
水瀬家のクリスマス。それは、名雪の誕生日祝いでもある。勿論、本来なら相沢祐一も参加なのだが、本日に限って言えば、23日から連続してパーティしてるからと今日は違うところに言っている。25日は彼女と一緒にって魂胆があるためだ。
「祐一さんが居なくて残念?」
「ううん。それに、祐一のことは仕方ないよ。お付き合いしてる人がしてる人だし」
「良かったわ」
秋子としては心配の種であった。相沢祐一は甥にあたり、秋子にとっては一人の息子とも言える。名雪の思い人でもあったのだが、以前彼女が出来てだいぶ落ち込んでいたが、今ではだいぶ吹っ切れたのだろう。それが良かったのか、名雪は段々と綺麗さが増してきている。
「今頃、祐一くんもお祝いしてるのかな?」
「そうじゃないらしいよ。一緒に遊ぶって約束らしいし」
「え?」
あゆの言葉に真琴は首を傾げる。それってデートでは無いのだろうか、と。だが、名雪は笑いながら言い切った。
「ほら、あの二人だから。一緒が良いってことで祐一も最初は考えてたけど、三人で共にって。昨日はほら居なかったわけだし」
「そっか。祐一くんも大変だね」
「ふん、丁度いいくらいなの」
真琴の小さな悪態に秋子さんは微笑みを浮かべてる。何時ものことだから。なんだかんだで祐一は慕われ好かれてる。だが、本人は選んだのだ。もう好きな人を。それ以上を選びはしない。今日くらいは楽しんできたらと送り出した。娘たちが祐一に色々とプレゼント貰ったのだし、彼女にも渡さないといけないだろう。初めての恋人たちのクリスマスなのだから。