「リタ、リタ」
「エステル、どうかしたの?」
読んでいた本から目を離してリタはエステルを見る。声をかけられたエステルのほうを見ると、そこでは一人色々な衣装を出していた。それは仲間全員分の衣装だ。称号を変えるたびにある服である。
「洋服を片付けてたのですけど、見てたら着たくなって」
「分からないでも無いけど、それで私に声をかけるって事は?」
頭が良いというのはこういうときも言わんとしてることは分かる。リタにも、回りの仲間たちにも着て欲しいって事だ。たまには色々な服に着替えて気分転換も良いものだ。
「ユーリのこの服とか、カロルの女の子のとか、ジュディスのこれも良いと思うんですよ」
「そうね。たまには気分転換になるんじゃないかしら?」
「じゃあ、最初はお風呂にいきましょう。これも良いと思うのです」
「って、お風呂のね」
「はい♪ レイブンにはその後騎士団の服が良いと思うんですよ」
「まぁね。あれは普段よりマシよね」
なんだかんだでリタも真面目に選ぶ。ジュディスにはこれ~、カロルにはこれ~と選ぶ。普段着ないのがメインだが、それはそれで楽しそうに女の子二人が選ぶ。ただ、この後星喰みの対決の前、騎士っぽいのやら、メイドっぽいのやら、ウサギ耳の勇者っぽいのとか、お姫様っぽいのとか、ボクっ子みたいなのとかに倒されたとか、何とか。ただそれを知る面々は、しばらく経ってこう漏らした。
「これ、デュークは困っただろうなぁ」
「それは言わないほうがいいんじゃない?」
「そうだね。僕も思い出したくない」
「私は別にかまわないのだけどね」
ユーリ、レイブン、カロル、ジュディスの言葉である。
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「鈴、どうかしたの?」
「これ」
猫の入った箱。街まで買い物に一緒に来ていて見つけたものだ。『なぁ~』と泣く様子は可愛らしい。しかし、鈴は困った顔をしている。今でも見ている猫の数は多い。確かに野良だからそのままだが、捨て猫を毎回拾ってるわけでは無いのだ。
「どうするの?」
「帰りにいたら、連れて帰っていいかな?」
「いいんじゃないかな」
鈴の隣に居たこまりはそう言うと微笑む。優しい子だと分かるからこそ。
「先に連れて帰っても良いんだよ」
「ううん、先に買ってから。そうじゃないとこの子の分も無いから」
「そっか。うん、じゃあ、早く行こうか」
「うん」
そして、二人が持って帰った猫にはマックスという名前がつけられた。新たな猫が加わった。