日記のため、ホムペに設置
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「エステル、大丈夫?」
「リタ、ありがとうございます」
傷付いた仲間のために、アイテムを投げて渡す。アイテムスローというスキルをつけてアイテムを渡しつつ、すぐさま襲ってくる敵にため息が出る。大きな敵だからこそ力をあわせてなのだが、厄介なのが敵が新たな敵を呼ぶ技である。一度それが入るたびに一匹一匹と増えるのだ。そのため味方も傷付いてばかりだ。
「ユーリ、大丈夫ですか?」
「あいつは元気よ。それよりも、カロルよ、カロル」
小さな身体で大きな武器を振り回してるのだが、如何せん敵の数が多すぎる。技を叫ぶ声は聞こえてるのが無事ということである証拠ではあるのだが。
「平原歩いていてまさかの遭遇ですね」
それぞれ構える。エステルは近くに居る敵をリタの方に行かないようにするため。そして、リタは魔法を唱えきる。はっきりといえば、全体に及ぶ魔法というのはありがたいことだ。ユーリとカロルも唱えられた魔法のおかげですぐに駆け寄ってくる。
「二人とも大丈夫か?」
「ええ。カロル、大丈夫です?」
「ぼくはなんとか」
声に元気は無いが、ユーリにしてもカロルにしても目の前の敵を見る。
「大きすぎだろう。こういうときこそ本来の『魔狩りの牙』の出番だろうに」
「仕方ないよ。それよりも、また来るよ」
「あとで絶対甘い物作って食ってやる」
「私もお願い」
「任せろ。エステルは?」
「私もお願いします。肉はもう、いやです」
的がちょっといのししっぽい生き物のため、肉は見飽きたという事だ。いや、消えるのでどっこいどっこいなのだが。このあと、2時間ほど戦い続け勝利を収めるのだが、全員疲労困憊だったとか。
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「ユーリ、カロル」
「エステル、どうしたの?」
走ってくる人物を見て、ユーリとカロルは声をかけかえした。走ってくる人は買い出しに出た人物だ。リタも一緒に行ってる。ユーリとカロルは武器を見ていた。自分たちの武器の修繕もあるが、それ以上にそれぞれに必要なものもあってだ。そんな二人に声をかけてくるのはある意味で珍しい。
「どうしたっていうか、二人とも買い物の係りじゃないのにどうしたのかなって」
「そうよ」
少し遅れて歩いてきたのかリタも到着。カロルとユーリは少し上を見る。
「買い出しのメモに書き忘れた物があったからな。散歩ついでだよ」
「そうなんだよ。それにジュディにも頼まれたんだよ」
「頼まれた?」
「ああ。砥石をな」
「ああ」
「なるほど」
確かにメモにはアイテムが多数だが、砥石は書いてなかった。武器を研ぐのに使うため必要だが忘れていたのだ。リタとエステルは納得。
「じゃあ、砥石も買っていきますね」
「ああ。頼むわ」
「僕はもう少しアイテム見てたいから見てるね」
「そうか。じゃあ、俺は散歩でもしてくるわ」
「はい」
道具屋で話も終り出て行くユーリ。カロルはアイテムを見ていて、リタとエステルはメモに書かれてるのを買っていく。ちなみにレイブンは宿屋で寝ている。モンスターの体当たりをもろに食らって腰をちょっと痛めたのだ。エステルをかばっての名誉の負傷である。
「あら」
「えっと、ジュディ、その返り血は?」
「ちょっと運動不足だったから」
「解消になったか?」
「全然」
ジュディスは外に魔物を狩りに出ていたみたいだ。しかしストレス解消にはならず。少しふて腐れてる。ユーリは小さく笑う。
「相手になっても良いけど武器は刃潰してあるのな」
「良いのかしら? レイブンの怪我の後、ずっと動きぱなしじゃないかしら?」
「剣振ってるほうが元気になるしな」
「ありがと」
「ま、レイブンが元気になるまでしばらく動けねーし」
「そうね」
しばらくして町の回りの魔物やらが減ったのは二人だけのせいではない。他の面々も闘っていたからだ。町で数日過ごす間に何かしら小さな仕事(魔物退治から小物の修繕など)を請け負っていたためだ。
「おっさん、大丈夫か?」
「だいぶね。みんなの活躍聞いてたわよ。そのおかげでおっさん、助かったけど」
誰も居ない間の面倒を宿屋の人が善意で見てくれていたのだ。レイブンをおいていくのはちょっとと考えていたエステルを考慮してのことだ。外で動きまわったり人助けしたりと休めるはずの休みに休まない面々である。
「カロル、次の仕事は?」
「あ、ユーリ、もう終わったの?」
「ああ」
ダンクレストでカロルは仕事の結果報告を受けていた。大体が戦闘方面が多い。なんせ世界を救った、世界の窮地を乗り越えるときの立役者たちだ。戦闘力はブラスティアがなくとも高い。街道に出てきた魔物の討伐から村や街に現れた魔物の討伐と大量にすることはある。
「次は……あれ、これ、ハルルからだ」
「ん、あそこにはエステルが居るだろうに?」
「そのエステルとリタからだよ」
この二人とて、過酷な戦闘を耐え切った猛者だ。そのためにユーリやカロルもそこいらから依頼が来るとは思ってない。だが、二人からの依頼という事は相当危険も伴うという事。二人の顔に真剣さがにじみ出ている。
「で、なんて?」
「大きな魔物が出たらしいんだけど、二人だと危険だから一人よこせって」
「んじゃあ、俺が行くわ。ジュディは?」
「もうすぐじゃないかな?」
「あら、ユーリ、早かったのね」
「まぁな。俺は次ハルルだし、送ってもらって良いか?」
「良いわよ。カロル、私は?」
「次はぼくと一緒にオルニオンの周囲に現れた魔物の掃討だって。これは騎士団からの正式依頼だよ。あっちも帝都が忙しいみたいだしね」
「分かったわ。じゃあ、先にユーリを送るわね」
「ああ。頼む。準備してくるわ」
「そうね。付き合わせてもらうわ。アイテムも心元ないし」
世界を救っても、問題も多々ある。人を守るために世界を飛び回る。凛々の明星はギルドの中でそれなりの地位を保っていた。少数精鋭の強いギルドへと…それは先の話。
「ユーリ」
「ん、エステル、どうかしたか?」
「いえ、ずっと料理を任せっぱなしなので手伝います」
戦闘を終えて、ちょっと小腹が空いたのでって事で料理を作っていたユーリ。勿論パーティ全員分。皆が皆欲しいというわけでは無いが、それでも疲れた体に栄養補給は重要だ。そして、ユーリは毎回食材を見て、何かしら作る。
「って言っても、もう終わるし。先にシートやら引いておいてくれたら良いぞ」
「そうですか?」
「後、皿も出しておいてくれ」
「はい」
嬉しそうに手伝う様にユーリは小さく笑みを浮かべる。まだまだ闘わねばならないのは確かだが、こういう休憩中の一時というのは大切だ。気は緩めてないが。いざとなれば包丁で敵を裁かねばならないだろう。近くにユーリの剣が無いためだ。といっても、その心配は少ない。ホーリーボトルを回りに引いてござを引いてるからだ。結界みたいなものだから。
「出来たっと。お~い出来たぞ」
「ありがと、青年」
「ありがと、ユーリ」
「毎回悪いわね」
「ありがたくいただいとくわ」
「わふ」
それぞれがお礼を言って取っていく。ただ、この時皆が皆違和感を覚えた。
「いただきます」
全員にいきわたったのを見てユーリは一口食べる。皆も食べる。大鍋で一気に作る料理というのをエステルは普段食べないのだが、こういうのも好んでいた。最近の食事ならではなのだが、人数が増えてにぎやかになった分楽しい。
「この後どこだっけ?」
「バウルに乗って、一度帝都に戻る予定だったわよね?」
「そうだっけ? 何か用事だっけ?」
「まぁ、そうね」
「おっさんを休ませるためっていうのと、買出しもかねてな。此処からだとそこが近いし」
「食材とか大丈夫?」
「まだ、何とかって所だ。後二度三度で切れるな」
「そっか」
食べながら次の予定を話し、そして決めていく。ギルドのことも、他のことも。目的地は決まっている。先ほどまではちょっとしたモンスターの様子を見に来たにすぎない。買出しも終われば本格的に目的地を目指し突き進むのみだ。最善を尽くす事は悪いことじゃないから。
「暑い」
「そうですね。砂しか見えませんね」
「まじでやばくなってきやがったな」
一人元気なおっさんは先へと進む。しかし、それを追っている面々の体力は限界近くだった。なんせ目の前で戦った魔物たちのこともそうだが、暑さが辛いのだ。オアシスで休憩を取るが砂ばかりの場所で道が無いのだ。道なき道を突き進むのは危険すぎるというのは分かっていた。分かっていたつもりだが、全員の頭の中に危ないという言葉が死ぬという言葉が出始めていた。休みを繰り返すわけにもいかないし、水筒の水ももう心もとない。カロルなど普段なら騒がしいが今回は静かなものだ。
「とりあえず、オアシスに戻ろう。このままじゃあ、全員が死んでしまう。何より危ないだろ」
「そうね。私もそれに賛成。おっさんは?」
「うん、どうかしたの?」
元気に戻ってくるおっさんに誰もがうざっと思う。しかし、そこは鉄の意志で押さえる。そしてそのまま戻る事を伝える。危ないのは確かだから。その日、パーティ一行はとある大型モンスターと相対し違うところへと運ばれた。そう、ヨームゲンへと