日記のため、ホムペに設置
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「寒い」
氷刃海で全員、寒さに堪えつつ歩いていく。たいした用事があるわけじゃない。ただ、素材が欲しいためだ。そのため、周囲に居る敵を倒しまくっているし、鍋を製作していく。ちなみに作ってるのは、パーティ前衛にして男性フェロモン全開のユーリだ。ちなみに先ほど呟いたのはレイブンだ。暑いところは大丈夫だが、寒いところは苦手という微妙な人である。
「あの、ユーリは寒く無いんです? リタも?」
「寒いは寒いのだけど、魔術で火を出してれば良いし。ユーリは? 服の前があいてるし」
「まぁ、なんていうか慣れだ。ずっとこれで生活してると意外と大丈夫だったりするんだ」
だが、全員が嘘だっていいたくなる。このふぶいてる最中、手やら首やら冷えていけば寒さで大変だ。パーティの面々はそれぞれからだを動かし、敵を倒すことで暖を取ってるのに近い。
「青年は元気なんだか、なんなんだか」
「ま、とりあえず、鍋できたぞ。リタもサンキュな。火」
「暖取りついでだから」
「そか」
火の始末をそこそこに鍋を囲む。敵が出てくるとか考えてない団欒だ。ホーリーボトルやら簡易結界も何もしてないのにこの気楽ぶりは普通の人から見たら驚きの光景だろう。しかし、周囲に魔物は居ないのだから、これもよしなのだろう。
「後二つ取れれば、此処から出て少し休むぞ」
「本当? ユーリ?」
「ああ。次は前衛頼むな」
「任せて」「ええ」
それぞれにパーティメンバーを変更しながらいく。回復も何も無い。力押しという恐ろしいメンバーだ。残り二つ取れれば、宿屋に休むぞと。
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亜種討伐というのをしていたら、他にもモンスターが居て、そして、驚いたことにそのモンスターがアオアシラだった。
「アオアシラはこちらで対応しておく。そちらの亜種を頼む」
「って、逃げるな。亜種の方が厳しいだろうが。それなら、鉄壁ガードのランスが頑張るべきだろう」
「何を言う。ガンランスとランスのパーティだぞ。誰が行こうが一緒だ!」
仲間内でそんなことを話してると、すでに挟み撃ち状態。これはヤバイ。四人パーティを組んでいるためにアイルーも来ないし。何より、体力的にも厳しい。にらみ合いという言葉が一番似合う。金レイアという希少種だが、亜種だ。硬い上に非情に厄介である。丁度集まった面々でレイア狩るぞ~と意気込んだのは良かったが、間違って金だったのは誤算だ。
「とりあえず、走り抜けてエリアを移動しよう。このままじゃあ、全員倒れておしまいだ」
「そうだな。1.2.3で突っ切るぞ」
「おおっ!!」
それぞれが頷いたり声をかけたりして、数字を思い描き、走る。
エリアのど真ん中で待ってるほど間抜けじゃないし、相手も突っ込んできている。その間を抜けるように、走る。スタミナ消費なんて放置だ。逃げなければ倒されてしまう。アオアシラなんぞ可愛いものだ。レイアの攻撃と毒が危なすぎる。怒ってないだけましか。怒りになれば、二度ほど喰らったら死ぬかもしれん。一度作戦会議だな。閃光玉やこやし玉、罠なんかの事も話し合わないと洒落にならないぞ。だからこそ、狩りは奥深いものであり、面白いのだが。今現状は無理でも逆転の手はどこでも転がってるのだから。
「寒いぞ」
「外出て、第一声がそれって。祐一、今日の夕飯がジャムでも良いの!?」
「それは困る。というわけで名雪だけで行ってくれないか?」
「気持ちは分かるけど、荷物もちしてもらわないとおかずが減るよ」
「構わん」
「う~」
困ってるように感じない声を出しながらうなる名雪に俺は苦笑いを浮かべる。寒すぎて動くのすら億劫だ。でも動かないと段々と冷たくなっていくだろう。それはそれで恐ろしいものだ。名雪は寒くないのだろうか? 雪も降って来てるし。
「寒いものは寒いけど、動いてたら少しはマシだよ」
「だぁ~。分かった分かった」
秋子さんの事故の後遺症ではないけど、俺の両親が一時的に帰ってきて法律的な部分などは全てしてくれたおかげで、この街にいてて良いという事になった。秋子さんの負担を少しずつでもへらそうと二人で考えて買い物や掃除などは分担してる。秋子さん曰く『子供が手が離れると寂しいものですね』などと笑っていて、母さんがそれに対して『お互い依存しすぎなのよ』などと厳しく返していた。似てない姉妹なのに、お互い分かり合ってるのだから凄いなぁ。あまり会ってないのに。
「さっさと行って、さっさと帰ろう。部屋の掃除しないと」
「祐一、大学受験の試験大丈夫なの?」
「だから、頭を休めるための外出だ。ちゃっちゃと行って終わらせるぞ」
「分かったよ」
名雪は大学の推薦に受かってるからな。俺の勉学なんかは見てないだろうが、想像は出来るだろう。だから、こうやって気にせず誘うのだろう。あまり気にしても仕方ないという考えだろうけど。
「じゃあ、行くよ~」
「ああ」
走っていこう。どうせ寒いのだから。身体を温めるために。
「もしも、私がユーリとお付き合いっていうです? 出来たら素敵じゃないですか?」
それは不意に発せられた言葉に宿屋で休憩していたパーティメンバー全員はそれを考えてみた。エステルとユーリがお付き合い。どうにもイメージがわかない。なんていうか、お互い無茶しそうだし。どうにもアグレッシブなカップルしか思い浮かばなかった。リタは少し考えて『やめておいたほうが良いんじゃない』とか思っていたが、声には出さなかった。
「悪か無いだろうけどフレンやシュバーンやらが怒るんじゃないか? 後、ヨーデルとか」
「そうでしょうか? フレンは分かりませんけど、ヨーデルなら喜んで押してくれると思いますよ」
「その前の段階で、ユーリの出は分からない上に、皇族にそういうのは駄目でしょうに」
レイブンの最もな言い分に理解はするが、エステルは『それはそうですけど』と想像くらいは良いじゃないかって事なのだ。カロルもそれはそれで良いかもなぁなどとおもう。ちょっと黒いが『凛々の明星』としてもバックが居る上に、仕事も増えそうだからだ。
「でも、ユーリだったらお城から連れ出してくれそうですし、皆と会えるじゃないですか。リタやカロル、ジュディスとも」
「簡単に言うけど、お城から出るって大変だと思うんだけど。それにそれくらいならお付き合いじゃなくても出来るだろうに」
出来ないと言わないユーリにレイヴンは頭を抱えた。そんな簡単に連れ出さないで欲しいものだ。確かに敵対したいとは思わないけども。なんせユーリだったら出来そうで恐ろしい。いくらか蹴散らしてでもいけるだろう。シュバーン隊の面々の苦い記憶が分かる。
「そうですか?」
「ま、とりあえず、世界救ってからだ。ジュディもそう思うよな」
「でも、先を考えるのも悪くないんじゃない? 私もユーリとお付き合いとか面白そうだし」
「ジュディスちゃん!?」
「でも、これで世界なんて救っちゃたら確実に僕らの名前は売れるから仕事一杯だよ。レイヴンだってユニオンのこともあるし、リタだって忙しいだろうし、エステルもじゃないの?」
先も書類やら魔物退治やらで忙しなくなりそうなのは全員が理解した。カロルの言葉に顔を青くしてる年長など分かりやすい。彼らの戦いはこれからも続きそうである。まぁただこの面々、世界の強者を悉く凌駕する猛者であるのだが。要らぬ心配であるかもしれない。
「ユーリ、お手伝いしましょうか?」
「ん、エステルは待っててくれ」
「でも、ずっとお料理作ってますし」
「ん~~、まぁ、気にするな。俺が食べたい物作ってるし」
戦闘終了後の楽しみというか、料理で回復というのはある。何より、ユーリは色々と作ってる。これまでに、サンドイッチをはじめ、料理人から受継いだ料理や皆がそれぞれ創意工夫した料理までも作ってる。国お抱えの料理人となってもおかしくないほどに美味しい料理も作ってるのだから、エステルとしては喜ばしい限りだ。しかしである。ユーリは甘い物が好きだし、それぞれにテクニックの居る技などを使うため、甘いのは確かに良い。だが、そこはそれである。女性たちにとって甘い物は甘美な毒なのだ。体重という目の前の現実に。動き続けてる面々は構わないが、動いて居ない面々も食べる。太るのはよろしく無いのだ。
「もしかして、皆、困ってるか? 甘い物づくし」
「えと、はい」
少し悩んだがエステルは漏らした。飽きたというよりも、効率重視しすぎではって事だ。たまには違うのが食べたいというのもあるだろう。ユーリは分かっていながらにして、作り続けていたのだ。
「今回で終りだよ。材料切れたし。次はさばミソかおにぎりとかになると思うぞ」
「そうなんです?」
「ああ。それに、俺が好きなの作ってばかりじゃあ悪いしな」
「ユーリ、甘いの好きなんですね」
「まぁな。さて、食べないなら俺が貰っておくから、皆にも伝えておいてくれ。完成したし」
「分かりました。私は貰いますね」
「どうぞ」
そんな二人を見ている面々。料理に対してそれぞれが何か言おうとしていたが、エステルが伝えてくれたおかげでそれぞれにしこりなくすみそうだ。何気にレイブンが嬉しそうなのは甘い物が苦手だからだろう。甘味尽くしは流石に大変という事なのだ。ただ、この時、皆知らなかった。テクニックが使えなくなるという大変な事態が起こりうることを…